「多様性」という言葉をよく耳にするようになりました。学校でも、企業でも、SNSでも。「人それぞれでいい」「違いを認めよう」「個性を大切に」——まるで万能のキーワードのように使われています。 けれど、実際にその「多様性」を本気で認めている人は、どれほどいるでしょうか。最近、「多様性パラドックス(paradox of diversity)」という言葉が思い浮かびました。直訳すれば「多様性の逆説」。つまり、多様性を掲げる人ほど、他者の多様性を認められないという現象です。 「正しい多様性」を押しつけていないか...